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世界的にCSR(企業の社会的責任)経営への注目が高まるなか、IT企業としての社会的責任といったテーマで、 企業倫理がご専門の梅津准教授と、社長の国嶋が対談しました。
世界視野で考える企業の社会的責任
- 梅津
- 国嶋社長はNECソフトの社長に就任されてまだ間もないですが、つい最近まで中国でNECの現地法人をマネジメントされてきました。成長著しい中国の企業をご覧になって何か思うことはありますか。
- 国嶋
- 中国の方々は自らを成長させるという意識が非常に強いですね。組織のなかでベクトルを合わせるのが難しいこともありますが、優秀な方が多く「自分が何をすべきか」を常に考えていますから、方向性をきちんと示して会社と従業員が1つにまとまれば、非常に大きな戦力になります。
- 梅津
- 私はつい先日、国連のグローバルコンパクトという国際会議に参加しました。CSRへの取り組みはヨーロッパ勢が世界をリードしている状況ですが、最近は中国も大規模な代表団を派遣して、非常に熱心に動き始めています。法制度などの違いはあるにせよ、各国が倫理面・哲学面で価値観を共有することはできるはずですから、これを機会にCSRがもっと世界的に浸透するといいと思います。
- 国嶋
- 中国には、ある方向を決めれば一致して動きやすい国情があります。政府主導で奨励されれば、CSRが急速に浸透してくるのではないでしょうか。
プラスを増やす貢献と、マイナスを減らす貢献
- 梅津
- CSRへの取り組みには色々なアプローチがあると思いますが、「NECソフトだからできる」社会への貢献とはどんなことでしょうか。
- 国嶋
- 私どもは、一般の企業、公共的な官庁や団体など幅広いお客さまとお付き合いがあり、NECソフトにとっての基本はITでこれらのお客さまの価値創造に協力することです。これによってお客さまの有益な事業を活性化でき、間接的に社会へ貢献しています。また、文書の電子化や電力消費の削減を支援するシステムを構築すれば、エネルギーの節約に直接的な貢献ができます。このようにITは様々な利便性や新しい可能性をポジティブに提供できますから、NECソフトの社会への貢献はそこから始まると思います。一方でITにつきまとうセキュリティなどの課題を解決するのも私どもの役割です。技術的にそれらを防ぐとともに、 ITユーザーの認識を高める啓発活動を進めるなど積極的に取り組んでいます。
- 梅津
- なるほどITを通じて社会に新しい価値や能力を供給すると同時に、セキュリティなどの問題を予防することも、NECソフトの社会的責任と言えるのですね。
NECソフトにとっての企業倫理
- 国嶋
- 梅津先生は企業倫理の専門家でいらっしゃいますが、NECソフトのような会社はどうコンプライアンスを進めていけばいいのでしょうか。
- 梅津
- NECソフトの場合は、社員が自社を離れてお客さまの会社に出向き、エキスパートとして業務を行う傾向が見られますね。お客さま中心で一人ひとりが専門のスキルを活かして働く、ある程度の権限を与えられて外に出て行くわけです。そういう場合は特に、「NECソフトの社員は何をするのか」「何をしないのか」といった倫理観・価値観を社員全員が共有していなくてはなりません。
- 国嶋
- そうですね、現場を基点にして、お客さまの業務やビジネスを理解した上でないと、最適なITソリューションを提供できません。お客さま中心の柔軟な発想がNECソフトの強みです。その社員はある意味で会社を代表しているわけですから、さすがNECソフトの人間だと思っていただけるような高い意識を持って、同時にお客さまのパートナーとして臨機応変に行動することが必要です。
ITのダイナミズムの中で試されるNECソフトの役割
- 梅津
- NECソフトが活躍するITの世界はとてもおもしろい側面を持っています。例えばLinuxなどは、ルールを守れば優れたソフトウェアが無料で使えてしまいます。いわゆるオープンソースという利用形態ですが、それをきっかけに派生的なビジネスがどんどん拡がっていく、他の業界とは全然ちがうダイナミズムがありますね。
- 国嶋
- ITは予想以上に世の中に浸透していて、至るところで影響が出てきます。従来以上に身を引き締めて取りかからなくてはいけません。些細なことでも社会に大きな影響を与えますから。一方では、ちょっとした工夫が環境にもいい効果を与えます。特に、エネルギーの消費をミニマムにするためにITはかなり役に立っていると思います。廃棄物の処理など直接的な環境対策のシステムもずいぶんあります。
- 梅津
- 私は、これからの時代、環境や社会貢献、倫理がビルトインされていてしかも効率性のある、つまり「合理性と倫理性」を両立したCSR経営ができる企業でないと生き残れないと思います。国連の会議でも、企業、政府とNGOやNPO といった市民社会組織(CSO:Civil Society Organization)の3セクターを有機的につなげて問題解決することが求められていました。そこでのIT企業の責任は大きいですね。
新たなコミュニケーションを生み出す生産革新
- 梅津
- このような時代背景のなかで、どのような経営目標を持たれているのでしょうか。
- 国嶋
- 私どもNECソフトはITを扱う企業として世界のトップクラスになろうという目標を掲げています。とはいっても売上高でトップを目指すということではありません。企業のもっと本質的な力でトップクラスになろうとしています。本質的な力の1つ目は「経営の力」です。コンプライアンス・財務体質に加えて、経営の透明性やリーダーシップが含まれます。もう1つはやはり「事業の力」。製品力やサービス力、そして他社に負けない強い分野を持っていることです。お客さま満足度を獲得できる能力も含まれるでしょう。そして3つ目が「社員の力」。行動規範がきちんと守られているか、社員がやりがいと満足を感じて働いているか、きちんと成長できているか。これら3つの力が備わっていれば、変化の波にも対応していくことができる、お客さまから頼れるパートナーとして認めていただけるはずです。
- 梅津
- 目標に向かって具体的にどう進んでいくのでしょうか。
- 国嶋
- 本質的な力を身につける基盤として「生産革新」を進めています。生産革新はもともとハードウェアの工場で効率化を進めるための手法ですが、その優れた部分をソフトウェアにも応用しています。まず現場を主体に改革を進めており、その中心的施策となるのが「見える化ボード」の活用です。小さな集団をいくつか組織し、今日の課題や明日の予定などを、オフィスのボードに貼って見える化していきます。集団によっては毎日朝礼をやってそれを確認する場合もあります。隣がどんなことを進めているのかわかりますし、組織の動きや戦略の方向性を共有できます。これが社員のコミュニケーションを活性化し、コンプライアンスを徹底するためにも、着実に効果を発揮しています。こういったところで生まれる「現場力」が「社員の力」や「事業の力」につながるのです。
- 梅津
- なるほど、これは企業倫理にも相通じます。法令違反はルールの不完全さが原因ということもありますが、「気がついたことで声を掛け合えば事故が防げたのに」という現場の風土やコミュニケーションの問題もあります。当然現場には適度な緊張感が必要ですが、例えば「優しいねぎらいの言葉」が本当に人を変えていく、チームの活動をスムーズにして創造性を高めるのかもしれません。生産革新の手法は企業倫理の質を高めることにもつながると思います。
- 国嶋
- 私どもはIT企業ですが、最大の資産は人だと思っています。パソコンや端末に向かって仕事をしていると会話の機会が減りますが、わずかな工夫で意思の疎通を図ると思いがけない効果を生むことがあります。
- 梅津
- 笑い話で、隣の人にメールを送るなどという話も聞きました。一方、今やメールやテレビ会議のおかげで世界中が距離の制約から開放されていることも事実です。今後の情報化社会で企業はどうあるべきでしょうか。
- 国嶋
- ITは人類が豊かな生活をするための補助をするいわば手段です。情報化社会そのものは目的ではありません。人間はITで相当のことができるようになりましたが、いわばノーベルのダイナマイトみたいなものですから使い方を誤らないようにしないといけません。私どもは情報化によって得られるメリットを、人間性を高めるような方向に誘導していければいいと考えています。それは私ども企業の責任でもあるし、大学の先生の責任でもあるし、あるいは政府の責任でもあります。IT活用のアイデアや手段、何かをシステム化する努力のは私たちが提供しますから、それを人の幸せのためにどう活用するか、全員の英知を集めて追求していければいいのではないでしょうか。こういった考え方をもとに、NECソフトとしては社員の「現場力」でさらなる社会への貢献を目指したいと思います。

私たちは収益だけでは語れない
本質的な力を持つことを目指していきます
- NECソフト株式会社
- 代表取締役
- 執行役員社長
- 国嶋 矩彦

適度な緊張感は必要です。
でも時には優しいねぎらいの言葉が
本当に人を変えていくのです
- 慶應義塾大学
- 商学部
- 准教授
- 梅津 光弘














